高校卒業以来の帰郷で旭川の地を踏む松野は、同級生たちとグラスを傾けていた。その中には元カノで今では人妻となった美樹もいた。
東京でアーティストとして活躍してきたと自称する松野は市が募集する木工モニュメント製作のチラシを目にし、同級生たちに「これこそ自分のための企画だ」とぶちまけ、同級生だけでなく市をも巻き込んだモニュメント作りに没頭していく。不思議なことに、この時間がずっと続けばイイと思った。これが永遠に続けばイイと思った。
しかし何も進まない。
同級生たちの間で「松野は本当にアーティストなのか?」という疑問が頭をもたげる。
相変わらず時間だけが過ぎていき、次第に追い詰められていく松野。
高校時代ならば行き詰った時はいつも美樹が後ろから押してくれた。でも今は・・・。
松野はもう一度自分を取り戻すために改めてモニュメント製作と向い合う。